2010年 第5回大会

150倍の難関くぐり12チームが決勝の舞台に
〜第5回全国学校給食甲子園®で前夜祭〜

 地域に根ざした学校給食の頂点を競う「全国学校給食甲子園®」の第5回大会がラストステージを迎えた。決勝前日の12月11日、会場の女子栄養大学駒込キャンパス(東京・駒込)には150倍の難関を乗り越えた全国6ブロックから選ばれた12チームが地元の食材を手に集まり、下見や最後の準備に追われた。

 子どもたちの健やかな成長と健康を願って給食を作り続けているトップクラスのプロ同士の闘いとあって、毎年甲乙付けがたい勝負と感動のドラマを生んできた。今年は全国から1、817校・給食センターが出場し、その中から選りすぐられた12チーム24人が決勝に駒を進めた。

 生産者が「子どもたちに安全、新鮮な材料を」と心を込めた食材を活かして、ふるさとの味を子どもたちに伝えていこうという思いは全員同じだ。先人の知恵が詰まった郷土食はふるさとの文化。今や給食にはこのバトンを繋げる役目もあるからだ。

 前夜祭では、各チームが思い思いに趣向を凝らしてふるさとの魅力や献立作りの工夫をユーモアたっぷりにアピールし、学校給食に込める熱い思いや決勝への抱負を話した。故郷の誇り、仲間や子どもたち、学校関係者の期待。笑顔で歓談しながらも24人は明日へ静かに闘志を燃やした。

決勝出場12チームが緊張の面持ちで勢ぞろい

主催者を代表してNPO21世紀構想研究会理事長の馬場錬成・東京理科大大学院教授が挨拶

 恒例の前夜祭が同大学内のレストラン、松柏軒で行われた。後援、協賛、特別協賛の企業や団体の関係者、主催者らが見守る中、選手が入場。緊張の中にも晴れがましさがのぞく。「明日はまた新しい感動のドラマが生まれてくるものと期待している。今日はゆっくりと歓談してほしい」。まず主催者を代表して特定非営利活動法人21世紀構想研究会理事長の馬場錬成・東京理科大大学院教授が緊張をほぐすように歓迎の言葉をかけた。

実行委員長の銭谷眞美・東京国立博物館長も選手たちにエール

 続いて大会実行委員長の銭谷眞美・東京国立博物館長が「この大会は、これからの日本を考えたときに食育は大変大事で、とりわけその中核をなす学校給食について普段提供している給食の競い合いするものをやれないだろうか、ということで始まった。明日は皆さんの検討を願っている」と激励した。

「世界に誇れる学校給食を」と女子栄養大の香川学長が挨拶

 第1回大会から会場を提供していただいている女子栄養大学の香川芳子学長が来賓を代表して挨拶。

 「日本で一番世界に誇れるのは学校給食だと思う。子どもたちの健康を支えているだけでなく、食の教育をする場であり、栄養のバランスも良く、安全で素晴らしい。この学校給食を子どもたちだけでなく、高齢者にも提供したらどうかと考え、始めたところだ。高齢者の3割が栄養失調だと言うことを知っておられるだろうか。この学校給食を盛り立てていくこの大会は素晴らしい企画だ。厳しい審査を通り抜けてきた皆さんに優劣はないが、明日の健闘を祈ります」と、あまたの栄養士を輩出してきた食の教育者の視点から大会の意義を話した。

文科省の布村局長が「乾杯」

 テーブルには松柏軒スタッフが休日返上で準備した料理が並んでいる。のどの渇きも気に掛かり始める。選手たちの交流が始まる合図は、学校給食を所管する文部科学省スポーツ・青少年局の布村幸彦局長が務めた。「学校給食はこれから学校・家庭・地域を繋ぐ中心としてますます重要になる。明日の素晴らしい献立を全国に広く知ってもらいたい」と述べ、乾杯。ようやく会場は和やかな雰囲気に包まれた。